飯舘村住民の初期外部被曝量の見積もり

今中哲二 いまなか てつじ
京都大学原子炉実験所
飯舘村初期被曝評価プロジェクト*

福島原発事故にともなう陸域での最大の放射能汚染,つまり福島第一原発の敷地から北西に向かって浪江町―飯舘村―福島市と細長く延びる汚染が形成されたのは,2011年 3月15日の夕方から翌朝にかけてであった。3月 15日の午前11時に当時の菅首相と枝野官房長官が記者会見し,「早朝に2号機の格納容器が破壊されたもよう」と発表した。冷却機能を失ってメルトダウンを起こしている原子炉の格納容器が破壊されたとは,チェルノブイリ事故のように,遮るものがなく大量の放射能が環境中に放出される事態に至ったということであった。

『科学』(岩波書店) 2014年3月号