相談員の確保が課題 原発避難者、帰還者支援

政府は2日までに、原発事故による避難者や、帰還者の放射線不安や生活再建などの相談に応じる相談員制度の具体的な推進策をまとめた。相談員の活動は放射線防護を中心に、避難者らへの助言や地域単位で進める課題解決策の提案などで、避難市町村などが今後事業計画を作って開始される。ただ相談員にはより専門的な知識が求められ、人材確保が課題となる見通し。「地元任せ」になれば人員が確保できず、制度が形骸化する恐れもあり、国の積極的な対応が求められる。

相談員制度は、昨年12月に閣議決定した「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」で、地元市町村による相談員の配置や活動支援が示され、福島再生加速化交付金を財源に創設された。対象は避難区域の双葉郡を中心にした12市町村など。住民帰還の促進や帰還者への生活支援が目的だ。

相談員の主な活動については助言や解決策提案のほか、避難者宅などに出向いての放射線量測定結果の丁寧な説明、放射線や生活再建などの聞き取りなどを挙げる。相談員には地元市町村の職員やOB、NPO法人などを想定しており、放射線の専門知識を持つことなどを求めていない。

しかし事故後3年以上が過ぎ、避難住民は一定の放射線の知識を身に付けており、関係市町村からは「放射線関連の相談対応は専門家でないと難しい」との指摘がある。「現在は放射線防護だけでなく、ストレス改善などの相談が多い」といった意見もある。

(2014年8月3日 福島民友ニュース)