ヨウ素剤服用は「適切」 原発事故、検証報告

東北大と福島県三春町は9日、福島第1原発事故後の放射線測定に関する共同研究「実生(みしょう)プロジェクト」の成果を仙台市内で発表した。町が原発事故後、甲状腺被ばくを防ぐため町民に安定ヨウ素剤を配布、服用させた独自の判断について「タイミングも含めて適切だった」との検証結果をまとめた。
 町は原発事故後、福島県内の自治体で唯一、住民にヨウ素剤を計画的に配布し服用を指示した。当時は十分な放射線のデータがなく、風向きなどを頼りとした判断だったため、町が東北大とともに検証を進めていた。
 同大大学院の小池武志准教授(原子核物理学)らによると、町がヨウ素剤を40歳未満の全町民に配り、服用指示したのは事故から4日後の午後1時。町民が測定していた放射線データや、研究者による磐越自動車道での測定値を解析した結果、町内の線量が高まり始めたのは同じ日の午後1時半ごろで、服用時期としても適切だったという。
 記者会見した鈴木義孝町長は「当時は情報が不十分で、風評や差別を引き起こした。分析結果を世界に発信したい」と述べた。研究成果は論文にまとめられ、14日に英国の科学雑誌に掲載されるという。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140810_61001.html