国連放射線影響科学委員会のカール・マグナス・ラーソン議長は28日、県庁を訪れ、村田文雄副知事と会談し、同委員会がまとめた東京電力福島第一原発事故の健康への影響に関する報告書について、県民と意見交換する考えを明らかにした。
同委員会が先月公表した報告書では、福島第一原発事故による子どもの白血病や将来的な乳がん、妊婦の流産、小児がんの明らかな増加は予想されないと結論付けた。20キロ圏内では住民が早期に避難したため、成人で最大50ミリシーベルト、1歳児で最大750ミリシーベルトの被ばくを免れたとしている。
冒頭のみ公開された村田副知事との会談でラーソン議長は「報告書は世界中の80人を超える研究者が科学的見地に基づきまとめた。(報告書について)福島の皆さんと意見交換し、考えを聞いて(同委員会の)評価活動の参考にしたい」と語り、報告書の日本語版を村田副知事に手渡した。
村田副知事は「さまざまなデータを科学的に評価し、報告書をまとめてもらい敬意を表する」と感謝の言葉を述べた。
ラーソン議長は会談終了後、記者団に対して「福島をはじめ、日本の皆さんと報告書をめぐって対話を深めていきたい。(意見交換について)どういう方策があるか協議している」と語った。原発事故による健康被害については、報告書に基づき「子どもの甲状腺がんの発症リスクは非常に低い」と強調した。
報告書の日本語版は同委員会のホームページで公開している。 同委員会の評価は、各国政府や国連機関が放射線防護の基準やプログラムを作成する際の基礎となっている。
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