水俣学の視点からみた 福島原発事故と津波による環境汚染

著者:中地 重晴

はじめに

一昨年3月11日発生した東日本大震災による津波によって,福島第一原発が放射能汚染漏れ事故を引き起こし,私たちが経験したことのない世界最悪の事故へと発展し,今なお,多くの方が避難を余儀なくされている。この事態に私たちはどう対処すべきか,放射能汚染にどのように対処していくべきか,水俣学の視点から今回の事故への対応について,現状と課題をまとめた。

水俣学は,昨年亡くなられた原田正純先生が提唱され,「負の遺産」としての公害,水俣病事件を将来に生かすことを目的として,「専門家と素人の枠を超える」,「学問分野の壁を越える」,「国境を越える」,「地元に学び地元に返す」あらたな学を創生するため,研究者と被害者,市民が共同で学際的な研究を進めていこうというものである。1999年より,原田先生が熊本学園大学に移られ,2005年に水俣学研究センターを設立され,文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業,オープン・リサーチ・センター整備事業として採択された。2010年からは私学学術基盤形成助成を受けて運営してきている。筆者は2010年4月から熊本学園大学に赴任し,研究員として運営に参加している。

2011年の3.11東日本大震災に関して,水俣学の視点から,東日本大震災の環境汚染問題をどう
考えるのか,今までの筆者の調査活動を中心に報告する。

http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/8738/1/661nakachi.pdf