県周産期医療支援センター 国内最高峰医師5人に 専門医を育成

県が福島医大に新設する「県周産期医療支援センター(仮称)」の整備概要が固まった。周産期医療に精通した国内トップレベルの医師5人を専任教員などとして招き、平成27年度内の一部開所を目指す。医師らは県内5つの地域周産期母子医療センターに出向き、未熟児の診療や産後の母親のケアに当たる。研修医を対象にした独自プログラムを実施し、県内に定着する産婦人科と小児科の専門医を育てる。

センターは、センター長をはじめ産婦人科医と小児科医各2人の計5人で組織する。県内病院との間で、医療支援などの調整を担うコーディネーター1人も配置する方針。福島医大が全国の大学病院や民間病院に勤務する医師から人選を進めており、今夏までには採用が決まる見通しだという。
医師を派遣するのは、県から地域周産期母子医療センターの指定を受けている大原綜合病院(福島市)、太田西ノ内病院(郡山市)、竹田綜合病院(会津若松市)、国立病院機構福島病院(須賀川市)、総合磐城共立病院(いわき市)の5病院が中心。診療内容の詳細は今後詰めるが、超未熟児(1000グラム未満)や先天性の疾病を抱える新生児に対する治療など、より専門的な知識と技術が求められるケースが想定されている。
出産前に子どもの障害を発見する遺伝子診断を実施することも検討している。
一方、研修医を対象にした独自プログラムは、福島医大付属病院で行う臨床研修の教育課程に盛り込む。国内トップクラスの医師から指導を受ける体制を整え、研修医を受け入れている他の医療機関との差別化を図る。県内外から周産期医療を担う人材を広く集め、県内への定着につなげたい考えだ。
センターは、28年度に全面完成予定の「ふくしま国際医療科学センター」内に設ける。建物が整備中のため、当面は学内の既存施設内に事務局を開設し、27年度中に医師派遣を開始する方針。センターの本格運用の開始は28年度内を目指している。
厚生労働省によると、県内の人口10万人当たりの産婦人科医は6.0人(平成24年12月末)で全国46位。小児科医は11.1人(同)で38位と、全国水準を大きく下回っている。県内では、以前から周産期医療を担う医師が不足していたが、東京電力福島第一原発事故以降、子育て世代の母親らが県外に避難するなどした影響で減少が進んだ。
県医療人材対策室は「本県の復興を後押しするためにも、県民が安心して子どもを産み育てやすい環境を整備していきたい」としている。

※周産期医療 妊娠22週から生後1週間までの期間の母子に関わる医療。母親と胎児、新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高まる期間で、周産期とその前後は、産婦人科と小児科の双方が連携した医療体制が必要となる。

http://www.minpo.jp/news/detail/2015062423614