ツバメの巣にセシウム 福島事故影響、13都県から

東京電力福島第一原発事故後の二〇一一年十一月から翌年三月までに採取した十三都県のツバメの巣から放射性物質が検出されたことが、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の調査で分かった。ツバメの繁殖行動に変化がないかなど調べる。

 同研究所は、野鳥愛好家らに一一年中に繁殖が確認されたツバメの巣の収集を呼び掛け、北海道から九州にわたる二十一都道府県から計百九十七個を集めた。

 巣に含まれる放射性セシウムの濃度を測定すると、福島第一の約三百七十キロ圏内に位置する十三都県の百五十個から事故で放出されたセシウムが検出された。

 福島県内では、集めた九十二個すべてから放射性セシウムを検出。セシウムの平均濃度は一キログラム当たり七五〇二ベクレルと十三都県の中で最も高く、最大で九万ベクレルだった。次いで高かったのは千葉県で平均三二一〇ベクレル、最大で一万二九〇〇ベクレルだった。平均で最も低かったのは山形県の三六ベクレル。

 放射性物質に汚染された稲わらや下水汚泥などは、八〇〇〇ベクレルを超えると指定廃棄物として国が処理する対象となる。ツバメは泥やわらを使って巣を作るため、巣近くの土壌汚染を反映したとみられる。

 調査した岩見恭子研究員は、一二年以降に採取した巣で濃度の変化を調べる。「原発事故と鳥の関係を調べた研究は少ない。繁殖への影響も記録していきたい」と話した。(三輪喜人)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015052702000123.html