第4回 甲状腺評価部会 : 資料3 手術の適応症例について

手術の適応症例について

震災後 3 年を経過し、2014 年 6 月 30 日現在までの二次検査者 1,848 名からの細胞診実施者 485 名中、悪性ないし悪性疑いは 104 例であり、うち 58 例がすでに外科手術を施行されている。
58例中55例が福島医大甲状腺内分泌外科で実施され、3例は他施設であった。また、55 例中1例は術後良性結節と判明したため甲状腺癌 54 例につき検討した。
病理結果は 52 例が乳頭癌、2例が低分化癌であった。
術前診断では、腫瘍径 10 ㎜超は 42 例(78%)、10 ㎜以下は 12 例(22%)であった。また、10 ㎜以下 12 例のうちリンパ節転移、遠隔転移が疑われるものは 3 例(5%)、疑われないもの(cT1acN0cM0)は 9 例(17%)であった。
この9例のうち7例は気管や反回神経に近接もしくは甲状腺被膜外への進展が疑われ、残りの2例は非手術経過観察も勧めたが本人の希望で手術となった。
なお、リンパ節転移は 17 例(31%)が陽性であり、遠隔転移は 2 例(4%)に多発性肺転移を疑った。
術式は、甲状腺全摘 5 例(9%)、片葉切除 49 例(91%)、リンパ節郭清は全例に実施し、中央領域のみ実施が 67%、外側領域まで実施が 33%であった。出来る限り 3cm の小切開創にて行った。
術後病理診断では、腫瘍径 10 ㎜以下は 15 例(28%)かつリンパ節転移、遠隔転移のないもの(pT1a pN0 M0)は 3 例(6%)であった。甲状腺外浸潤 pEX1は 37%に認め、リンパ節転移は 74%が陽性であった。術後合併症(術後出血、永続的反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症、片葉切除後の甲状腺機能低下)は認めていない。

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