1.はじめに
(1)検討の背景
原子力災害対策指針の次回の改訂において、東京電力株式会社福島第一原子力発電所を対象とした特別な防護措置を定める必要がある。
安定ヨウ素剤について、福島第一原子力発電所を除く一般の発電所においては、指針上、予めPAZ圏内の住民に事前配布するとともに、UPZ圏内の住民に対しては、緊急時における避難の際などに、必要に応じて配布することとなっている。しかし、福島第一原子力発電所は、現在、殆ど放射性ヨウ素が炉内に残っておらず、大量放出には至らないと予想される。
上記考え方について、規制委員会として科学的・合理的に説明可能な論拠を整えるため、現在の福島第一原子力発電所の放射性ヨウ素の放出量の評価を実施する。
(2)検討の範囲及び方法
現在の福島第一原子力発電所の炉内及び使用済燃料プールに保管されている燃料集合体について、以下の各範囲について、本分中に記載している方法により放射性ヨウ素の残存量について検討する。なお、図1-1に示す東京電力の福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置に向けたロードマップでは、2018年末から燃料デブリ取り出しのための、水張り作業が想定されている。この工程以降の臨界管理については、現在検討が続けられている段階であるため、本検討の対象外とする。
1) 現在の福島第一原子力発電所の炉内及び使用済燃料プールにおける放射性ヨウ素量の評価
2) 現在の福島第一原子力発電所の炉内及び使用済燃料プールにおける臨界の可能性の検討
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/pre_taisaku/data/0009_03-1.pdf