緊急時の被ばく線量 上限引き上げ案を審議

原子力発電所の事故など緊急時の作業員の被ばく線量の上限を、現在の100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げることを盛り込んだ法令の改正案について、国の審議会で検討が始まり、委員からは対応に当たる作業員の意思の確認や長期的な健康管理を十分に行うよう求める意見が出されました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故では被ばく線量が緊急時の上限の100ミリシーベルトを超える作業員が相次いで、急きょ上限が一時250ミリシーベルトに引き上げられ、原発事故への備えが十分でなかったと指摘されました。
これを踏まえて、被ばく線量の上限を2段階に分け、これまでどおりの100ミリシーベルトを基本としながら、放射性物質が外部に放出されるおそれがある緊急時には、250ミリシーベルトに引き上げるとする法令の改正案が、放射線や被ばく医療の専門家で作る国の審議会に示されました。
改正案では、事前に電力会社から被ばくによる健康影響や被ばくを防ぐ対策について教育を受け、書面で同意した作業員に上限の引き上げが適用されるとしています。
委員から異論は出ませんでしたが、作業員の意思の確認や長期的な健康管理が適切に行われるよう、原子力規制庁や厚生労働省の十分な関与を求める意見が出されました。
審議会は今月30日にも議論をしたうえで、改正案への答申をまとめることにしています。
(NHK News web)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150723/k10010163551000.html