東京電力福島第一原子力発電所の事故で、情報公開の在り方を巡って大きな議論となった放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」について、原子力規制委員会は「不確かな予測結果を使うと、逆に被ばくのリスクを高めかねない」として、今後、住民の避難の判断には使わないことを決めました。
「SPEEDI」は、原発事故の際に放射性物質がどう拡散するかを予測するシステムですが、福島第一原発の事故では予測データが2か月近くほとんど公表されず、国の対応の是非を巡って大きな議論となりました。
これに対して、原子力規制委員会は、事故後に作った原子力災害対策の指針のなかで、住民を避難させるかどうかは実際の放射線量などに基づいて判断するとしたうえで、SPEEDIの予測データは参考情報として扱うとしています。
しかし、自治体の間には「どう参考にすべきかを示してほしい」という声が根強くあることから規制委員会で対応を検討していました。
その結果、規制委員会は8日の会合で「不確かな予測結果を判断に使うと逆に被ばくのリスクを高めかねない」として避難の判断には使わない方針を決め、指針などを修正することになりました。
一方で、事故発生から時間がたてば比較的正確なデータが得られることから、住民の被ばく線量の評価などに活用することを検討しています。
SPEEDIを巡っては、政府の事故調査・検証委員会は「活用する余地はあった」としている一方で、国会の事故調査委員会は「初動の避難の根拠にできるほど正確性を持つものではない」とするなど見解が分かれていました。
10月8日 16時26分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141008/k10015236041000.html