環境省は22日、東京電力福島第1原発事故による本県や周辺住民の健康管理の在り方を検討する専門家会議を都内で開いた。会合では「事故による放射線で健康への影響が見込まれる疾患」に、幅広い健康不安を含めるべきだとの意見が相次いだ。
健康不安をめぐっては、東大大学院の川上憲人教授(精神保健学)の研究チームの調査結果が報告された。本県の避難区域を除く30地点の1000人にアンケート調査し、447人から回答を得た。放射線に関するストレスを9項目に分類した設問では、このうち421人から回答があった。「とてもそう思う」から「全くそう思わない」の4回答で求めた。
「深刻な病気にかかるのではないか」の質問には「とてもそう思う」と「ややそう思う」を合わせると61%だった。「次の世代の人たちが病気になるかも」は計73%、「原発事故に関する報道をみると不安」は計82%で、健康に対するストレスが確認された。
福島医大の丹羽太貫特命教授は「広島と長崎の原爆の健康影響調査では、被ばく線量と直接関係のあるリスクをいかに取り出すかを調査したが、今回の事故では実際に起こっている影響からスタートすべきだ」と、健康不安への対策を重視すべきと指摘した。
しかし、座長の長滝重信長崎大名誉教授は「今までの(研究の在り方の)習慣と違うところがある」と発言するなど、被ばく線量と健康不安を結び付ける考えに否定的な見解を示した。
(2014年9月23日 福島民友ニュース)