ロシア連邦: チェルノブィリ原子力発電所における大災害の結果として放射線の影響を被った市民の社会的保護についての法律

(1991年5月15日付) 現行規定 (2013年12月21日現在)

*Электронный фонд правовой и нормативно-технической документацииの情報を元にしています。
*給付金の金額などは、政府決定によって改定されている場合があります。
*断りなく、訂正や訳語の変更を行なうことがありうることをご了解ください。これらの点についてのご指摘をお待ちしています。

第1章 総  則

 第1条 本法律の目的および任務
本法律は、1986年4月26日のチェルノブィリ原発における大災害の結果として発生した好ましくない諸要因の影響を被ったゾーンにいた、またはこの大災害の結果の除去に参加したロシア連邦市民の権利および利益の擁護を目的と し、それらの市民の社会的支援の分野における国家政策を定める。〔2004年8月22日法による改正〕
 第2条 チェルノブィリ大災害に関するロシア連邦の法令
チェルノブィリ大災害と関連した諸関係は、本法律、ロシア連邦の現行法令の本法律に抵触しない規定、およびそれらに従って制定されるロシア連邦の法令のその他のアクトによって規律される。
第3条 チェルノブィリ原発における大災害の結果として放射線の影響を被ったロシア連邦市民の補償および特典を受ける権利 
ロシア連邦市民には、本法律によって定められた、チェルノブィリ原発における大災害の結果としてその健康および財産に被った損害の賠償、チェルノブィリ大災害の結果として許容される水準を超える放射線汚染を被った領域における居住および労働の結果としての放射線損害のリスクに対する損害の賠償、 ならびに社会的支援措置の提供が保証される。
ロシア連邦市民が、本法律によって定められた損害賠償および社会的支援措置に対する権利をさまざまな根拠にもとづいてもつ場合、その市民には、存在するすべての根拠にもとづいて損害が賠償され、社会的支援措置が提供される。そのさい、ロシア連邦市民に対する同一の損害の賠償および同一の社会的支援措置の提供は、その選択により〔複数の〕根拠のうちのひとつにもとづいてのみ行なわれる。
市民が、本法律にもとづく損害賠償および社会的支援措置に対する権利と同時に、他の規範的法的アクトにもとづく損害賠償および社会的支援措置に対する権利をももつ場合、ロシア連邦の法令によって別の定めがなされていない限り、損賠賠償および社会的支援措置は、それらが定められている根拠のいかんを問わず、市民の選択により、本法律にもとづくか、または他の規範的法的アクトにもとづいて提供される。
〔2004年8月22日法による改正〕
 第4条 チェルノブィリ原発における大災害の結果として放射線の影響を被った市民の社会的支援の概念
チェルノブィリ原発における大災害の結果として放射線の影響を被った市民の社会的支援とは、本法律および他の連邦法律によって定められる、チェルノブィリ原発における大災害の結果として放射線の影響を被った市民に社会的保証を保障する措置のシステムである。
本法律によって定められた社会的支援措置は、ロシア連邦政府によって定められた手続で提供される。
〔2004年8月22日法による改正〕
 第5条 本法律のための資金供給
本法律によって定められたチェルノブィリ原発における大災害の結果として放射線の影響を被った市民に対する損害賠償および社会的支援措置は、ロシア連邦の歳出義務である。ロシア連邦の歳出義務の資金供給の手続は、ロシア連邦政府によって定められる。〔2004年8月22日法、2004年12月29日法による改正〕
本法律によって定められた補償およびその他の給付の送付サービスの支払いに関する支出の資金供給は、付加価値税を別として、補償およびその他の給付の支払い額の1,5パーセントの枠内において連邦予算の資金によって行なわれる。〔2004年8月22日法による改正〕
 本法律によって定められた市民に対する給付の額は、他の連邦法律に従ってその物価調整が定められている手当およびその他の給付を除き、連邦政府によって定められる手続により、当面する会計年度に対して連邦予算についての連邦法律によって定められるインフレーションの予測水準にもとづいて、毎年、物価調整される。〔2004年4月26日法による改正〕
 第6条 チェルノブィリ大災害の結果として被災した地区における住民の居住についての考え方の基本命題
 本法律のチェルノブィリ原発における大災害の結果として放射能汚染を被った領域における住民の居住条件を定める部分は、次の命題に立脚する。
1.保護措置の実施の必要性についての決定の採択および損害賠償のための基本的指標は、チェルノブィリ原発における大災害の結果として放射能によって引き起こされた住民の被曝線量の水準である。〔1995年11月24日法による改正〕
   2.許容され、いかなる介入も必要とされないのは、1991年およびそれ以降に1 ミリ・シーベルト(0,1ベル)を超えない年平均実効線量を形成する、チェルノブィリ原発における大災害の結果としての放射性降下物による住民の被曝の(当該地域にとって自然的および技術起源の放射線環境の水準を上回る)追加的上昇である。
3.保護的措置 (対策) は、1991年およびそれ以降に1ミリ・シーベルト(0,1ベル)を超える年平均実効線量を形成する、チェルノブィリ原発における大災害の結果としての放射性降下物による住民の被曝の(当該地域にとって自然的および技術起源の放射線環境の水準を上回る)追加的上昇の場合に実施される。
保護的措置の全体は、慣れ親しんだ生活様式に対する制限を同時に弱めながら、(食品汚染の減少によるものを含め)放射線負荷量を継続的に引き下げることに向けられなければならない。こ れらの目的の最適な達成は、1991年において5ミリ・シーベルト(0,5ベル)という住民の平均実効被曝線量を超えないこと、またこの線量を年に1ミリ・シーベルト(0,1ベル)まで、最大限可能で経済的・社会的要因によって正当化されうる引下げを行なうこと、という条件を考慮しつつ実現される。〔1995年11月24日法による改正〕
  
4.1993~95年および2000年までの時期におけるチェルノブィリ大災害の結果の影響からのロシア連邦の住民の保護についての統一国家プログラムにおいて示された居住地点からの市民の義務的移住を完遂することが必要である。
5.本法律第9条にしたがって住民が義務的に移住させられる隔離ゾーンおよび移住ゾーンの範囲外にある放射線核種によって汚染された領域において居住する市民は、放射線の状況、被曝線量および健康にとってのそのありうべき 結果についての、その者に提供される客観的情報にもとづいて、当該領域に住み続けるか、または他の居住地に移住するかについて、自主的に決定する権利をもつ。〔1995年11月24日法による改正〕

 

続き: http://ruseel.world.coocan.jp/Chernobyllaw.htm