平成24 年度 SPM 捕集用ろ紙に付着した放射性核種分析 報告書

平成25 年3 月 (平成26 年8 月 データ訂正版) 首都大学東京

1. はじめに
産業活動により放出されるPM2.5 粒子や光化学オキシダントの環境基準の達成率は非常に低く,その対策の検討が求められている.大気質モデルは,これらの対策効果を予測・評価するために非常に有効な手段となる.しかし,モデル計算は不確実性を有しており,それを低減することが強く求められている.正確さを向上するには,観測結果との比較によるモデルのブラッシュアップが欠かせないが,一般に,大気汚染物質は,多様な発生源から排出されているため,比較が容易ではない.

平成23 年3 月におこった東京電力(株)福島第一原子力発電所事故に伴い大気環境中に放出された放射性物質は,気流とともに各地に拡散・輸送されたので,大気中の放射性核種濃度のデータがあれば,大気汚染物質の発生源が1箇所で既知であるため,大気質モデルの精緻化に大いに役立つ事例と考えられる.一方,日本各地に大気環境常時測定局が設置され,SPM(粒径10μm 以下の微粒子)が一時間ごとに自動的に捕集されおり,このSPM の放射性核種を分析することにより,大気中の放射性核種濃度の多地点・連続データが取得でき,事故により放出された放射性物質の実際の拡散の様子を再現することができると考えられる.そして,このデータをもとに大気質モデルを検証・改良することが可能となる本業務では,東京電力(株)福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性物質の事故当時の時空間分布を推計するため,SPM の自動測定機の捕集用ろ紙上に付着した放射性物質を分析した.

http://www.env.go.jp/air/rmcm/misc/attach/report-201303_main.pdf