県が行っている子どもの甲状腺検査をめぐり、がんを引き起こすとされる放射性ヨウ素について原発事故後に取り込んだ量がほとんどわかっていないことから、放射線医学総合研究所は事故直後に測定された一部のデータなどをもとに全体の被ばく線量の推計を進めることにしています。
原発事故で放出された放射性ヨウ素は、子どもの甲状腺に蓄積するとがんを引き起こすおそれがあり、県は事故当時、18歳以下だったすべての子どもを対象に検査を進めています。
12日開かれた県の専門家の委員会では、事故後のおおむね3年間で行われた1回目の検査では109人に、またことし4月以降の2回目の検査では8人にがんやがんの疑いの症例がみつかったことが報告されました。
検査をめぐっては、一人ひとりがどの程度、放射性ヨウ素を取り込んで被ばくしたかがほとんどわかっておらず、みつかったがんと原発事故との因果関係をどのように検証するかが課題となっています。
これについて放射線医学総合研究所の明石真言理事は12日の委員会で、事故直後に当時の原子力安全委員会が測定した1080人の被ばく線量のデータなどをもとに全体の被ばく線量の推計を進める考えを明らかにしました。
具体的には、測定された被ばく線量と、それぞれの行動記録や食べたものなどを分析して、複数の行動モデルを作るなどして、データがない人の被ばく線量の推計に役立てるということです。
委員会では、これまでにみつかったがんやがんの疑いの症例について「今のところ原発事故との因果関係は考えにくい」としていて、新たな推計結果などを踏まえて検証を進めるとしています。
02月12日 19時26分